2014年09月05日

「おちくぼ」をつれづれにまとめる(2)

見返り四の君.JPG

■原作「落窪物語」との関係について

今回、原作のある話を初めて上演しました。

いくらわかりやすいシンデレラの話とはいえ、
長編の古典文学をそのまま演劇にできるはずはなく、
いろいろと脚色しております。

一番大きいのは時間の問題。

文学ではいくらでも読者の時間を気にせず書き続けることが出来ますが、
演劇ではどうがんばっても2時間。
(エンタメ作品として小さめの小屋でやる場合)

鴻上尚史さんが著書で、戯曲を「時間のパズルゲーム」と称しているとおり、
創作能力より編集能力が重要なケースがあります。
今回のように長めの原作があるパターンが一番わかりやすいですよね。

原作のある作品をわたしたちエンプロがやる場合、
この「2時間以内」のほかにもそれなりに高いハードルを越えねばなりません。

・平安時代の世界の話をわかりやすく書く。
・原作のファンの方々に気を悪くさせない。
・遠藤が描きたいものをきちんと描く。
・コメディである。

上に書いた条件をクリアするために、工夫の限りをつくしたつもりなので、
具体的に何をしたのかちょっとだけ書いておきます。

・改編その1/四の君と三の君の合体

「おちくぼ」でも語られているとおり、中納言家には四人の娘がいます。

原作「落窪物語」で描かれるのは三の君と四の君(三女と四女。そのまんま)。
本来、蔵人が言い寄るのは三の君のほうでした。

この三の君は「おちくぼ」に出てくる四の君と同様性格が悪い。
原作のお話後半では蔵人に捨てられてしまいます。

では、原作の四の君はどんな人だったのかというと、
中納言家では数少ない良心的な人(単に幼いだけとも言えますが)で、
落窪に対しても同情的な人物でした。

この四の君の名前だけ残し、性格を三の君のものに入れ替えました。
北の方と落窪の対立構造をはっきりさせ、
蔵人と道頼が同じ女を取り合っているように見せかけることで、
物語の推進力を維持しようとしたわけです。

ちなみにプロット段階では、役者の後藤貴子に、
「大君」「中の君」「三の君」「四の君」の一人四役をやってもらって、
ドタバタに拍車をかけてもらうというプランもあったんですが、
書くほうもやるほうも見るほうも混乱するだろうということで、
案の定、ボツになりました。

ふたを開けてみれば、四の君ひとりで十分輝いていたので、
ヘタな奇策に走らなくてよかったと思っています。

中納言家がおそ松くんみたいになるのも見たかったんですけどね。

※見返り四の君。


posted by エンプロ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | おちくぼ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。