2014年09月08日

「おちくぼ」をつれづれにまとめる(4)

ふたり.JPG

・改編その3/うそくぼ問題とその周辺

原作「落窪物語」の落窪姫はウソをつきません。
このあたりは原作好きの方のリアクションが気になる変更です。
「落窪姫はそんな人じゃないよ!」というツッコミが入るのではないかと、
びくびくしながら変えてしまいました。

彼女のウソでドタバタ感が増すので、
「物語の推進力を落とさない」という機能的な役割も重要なんですが、
真の狙いは「落窪の成長と葛藤」を描くことです。

落窪姫は本来頭のいい女性ですが、
幼少から何でも世話してくれる優秀な侍女・阿漕が、
彼女の成長を妨げてしまいます。

阿漕は幼い頃から良かれと思って何から何まで落窪の世話をします。
ますます落窪は世間知らずになっていきます。
自分が頼りない存在でいなければいけないような気もしてきます。

落窪自身も居心地の悪い状況にあるのは気づいているけれど、
どうしていいかまではわからない。
成長していくにつれてその葛藤は深くなります。

そのため、お互いがお互いのことを大好きなはずなのに、
ふたりの関係はギクシャクしてしまいます。

今回の「おちくぼ」では、侍女の阿漕のいるときといないときで、
落窪姫の言動が変わります。

阿漕の前では、単にネガティブで頼りない存在なのに、
北の方の前では機転を利かせて危機を乗り越えたりしています。
ウソをつくのは彼女の変化(=成長)のひとつです。

本作では、一時的に落窪姫と阿漕の立場が入れ替わることで、
単に依存する関係から対等に近い関係になり、エンディングを迎えます。

この二人の関係の変化は遠藤がしっかり書きたかった部分です。
うまく伝わってるといいのですけども。

ちなみに、彼女たちの関係は、
道頼と帯刀のそれに近づいていくという見方もアリです。
身分の差があっても二人は親友ですから。


・・・・・・


これらの改編は、後から見ると「たかがそんなもの」という感じもしますが、
それは後から見たから言えること。

小難しく見せないのも技術だったりします。
こういうのは演劇を見ている最中の観客には伝わらない(伝わった時点で失敗作)ので、
たまにはアピールしておくのもいいかと思って書いてみました。

※友情への道のりは険しい(こともある)。

(つづく)


posted by エンプロ at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | おちくぼ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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