2015年08月26日

エンプロ、2015年をふりかえる(2)

◎マリアージュ有象無象(脚本:遠藤雷太)

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古谷照子:金子綾香
阿仁屋みどり(ドリー):三宅亜矢
権藤薫:小松悟

というわけで各論に入ります。

超絶ポジティブな古田照子と理論派ネガティブの安仁屋みどりは、『聞き耳カフェ その2』から1年ぶり3回目のふたりです。

ポジネガが対決してネガが勝てるわけもなく、過去何度も苦汁を舐めてきたドリーに、ようやく逆転のチャンスが訪れるというのが今回の話です(ちなみに前回も似たような話です)。

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※理論派(ただしネガティブ方面のみ)

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※ポジ担当。(敏腕コンシェルジュも注目)

それにしても、ドリーが連れてきた権藤薫という婚約者。

何がどうなったらこのふたりが付き合い始めるのか。疑問に思った方も多いのではないかと思います。

出会いはある工事現場でした。

コンクリートとむき出しの地面の間に足を取られて転んでしまったドリーに、手を差し伸べたのが薫くんでした。

彼は工事現場で交通誘導のアルバイトをしていたのです。

このカップルの作品的テーマは「誰が見ても将来を危ぶむ夫婦」です。

その場の勢いで交際を始め、結婚にまでいたったその背景に、数々の偶然があっただろうことは想像に硬くありません。奇跡と言ってもいい。

ただし、誰もが将来を危ぶむ夫婦が本当に不幸になるとは限りません。

案外、子供が生まれたらそれなりに楽しく過ごせるのかもしれませんし、5〜6年後には子沢山家族になる可能性だってあると思います。想像すると爆笑です。日常に追われ、ネガティブになっている暇もなくなるんじゃないでしょうか。

そうなったときに、照子はどこで何をしているんだろうと想像するのも興味をひかれます。

このふたりが本当に親友かどうかは、作者である遠藤にもわかりません。

おそらく、ずっとふたりの力関係が変わらないということは、ないと思います。

数十年後、ふたりが年老いて、照子が先に死んだとします。

ドリーは安らかな顔で眠る照子の横で「先に行かないで!」と泣いているんじゃないかと思います。

想像すると結構泣きそうになります。

そのときに初めて、「ふたりは親友だった」と言えるのではないかと思います。

ただ、少しも笑える話ではないので、遠藤が書くべき話ではないなーと思ったりもします。

もちろん、ぜんぜん違う未来が待っているかもしれません。

あっさり来年あたりにみどりが離婚している可能性もかなりあります。そのころには照子が再婚してたりしてね。

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※薫くん(稽古序盤)



◎ピックアップ生首。(脚本:深浦佑太)

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保瀬 いたお(ホセ):深浦 佑太(ディリバレー・ダイバーズ)
橋安 けん(ハシヤス):村上 義典
充名あい(店員):大沼理子

先に脚本の深浦佑太くんからプロットを見せてもらったのですが、第一印象は「正気なのかな?」ということでした。

深浦くんは以前に役者として「聞き耳」に出演してもらったことがあったので、雰囲気はわかっているはず。

なのに、何度読み返してみても人が石化している。

最後にネタばらしがあるわけですが、その間「人が石化したもの」として、演者もお客さんも見なければならない。

普通の演劇と違って抽象表現が一切できない聞き耳カフェの空間でそんなことが本当に成立しうるのか。
結構悩みました。

しかも、この作品、人が石化することがキモなので、その要素をカットすると話が成立しない。

そこでプロデュース側として差し替えを要求するのは簡単です。

ただ、繰り返しになりますが、深浦くんは「聞き耳カフェを知っている人」です。勝算があるはずなのです。
もしくは、本当になにも考えていないのです。

考え方を二択にまでしぼれたので、あとはすぐ決断できました。

深浦くんの定義する聞き耳カフェを見てみようと。

それをやんなきゃ、外部の人に脚本頼む意味がない。

出演者は、ほとんど自動的に深浦くんに決まりました。

より責任の片棒をかついでもらおうという意図です。

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※片棒をかつがされる。

そして、もう一人はあれこれ協議した結果、エンプロ初参加の村上義典くんに白羽の矢が立ちました。

遠藤自身は、比較的大き目の劇場でしか村上くんを見たことがなかったのですが、実際に間近で演技を見るとはっきりと期待以上でした。

力のある役者が至近距離でぶつかりあうわけですから、やはり迫力が違います。とても贅沢な空間になりました。

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※本人は不安だったのかもしれません。

また、なにより大事なのは誰が石化するのかということ。

この配役もかなり難航しました。

少しでも石化に説得力を持たせたい。

そこでダンスの技術があり体の使い方に長けた大沼理子さんにお願いしました。

出番が少ない上に石化する役という本当に意味不明なオファーだったのですが、男前な理子さんは快く引き受けてくれました(少なくとも表面上は)。

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※柄が落ち着かない。

結果、かなり演劇っぽいバランスの作品になりました。

多少の賛否はあるでしょうが、演劇として間違いなくおもしろかったですし、フライヤーの文章にあったように「聞き耳」空間の向こう側の世界を見せてくれたように思いました。

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※石化の元凶。

posted by エンプロ at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | つれづれ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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